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■差額の負担

(1) 保険外併用療養費
病気やけがの治療に必要なものは、ほとんど健康保険で受けられることになっていますが、新薬や新しい治療法など医学的に価値が定まっていないものについては、健康保険で受けられないことがあります。これら、保険で受けられない診療は全額自己負担となります。
ただし、[1]大学病院など特定承認保険医療機関で高度先進医療を受けるとき、[2]特別療養環境室(差額ベッド)に入院したときや、金属床による総義歯などを使用したときなどの 「厚生労働大臣の定める療養」 については特別で、保険のワクを超える部分についての差額は自費で負担しますが、診察・検査・投薬・入院料など保険のワクの分については、保険が適用されることになっています。
つまり、保険のワク内分は、一般の保険診療に準じて自己負担分を窓口で支払えばよいことになっていて、残額は健康保険組合が負担します。この健康保険で負担する分を保険外併用療養費といいます。
被扶養者の保険外併用療養にかかる給付は、家族療養費としてその費用が支給されます。

(2) 特定承認保険医療機関
大学病院などは、研究・医育機関として高度な医療を行っており、保険のワクにはおさまらない部分も含まれています。
そこで、保険のワク内のものについては保険扱いとし、保険のワクを超える部分は自費扱い(差額負担)とするしくみになっています。こうした方式の医療機関として地方社会保険事務局長の指定を受けたところが「特定承認保険医療機関」です。
保険のワクを超える部分としては、現在のところ、内視鏡下頚部良性腫瘍摘出術、重症肥満の外科的治療、インプラント義歯などですが、こうした高度先進医療を受けるとき、その該当部分だけを差額負担すればよいということです。

(3) 入院の室料
入院の室料も保険の適用範囲内ですが、個室などふつうの病室より条件のよい病室に入ると、その差額を負担しなければなりません。差額ベッドといわれていますが、正式には特別療養環境室といいます。なお、差額を支払うのは患者本人が特別療養環境室を希望したときに限られます。

(4) 歯の治療
歯の治療は通常すべて保険で受けることができますが、金属床による総義歯などを希望するときは、保険で認められていない材料を使っても保険との差額を負担すればよい場合もあります。
いずれにしても、治療に入る前に歯科医によく聞いて、「全て保険でやってください」など要望を言って、あとでトラブルが起こらないようにすることです。

(5) 厚生労働大臣の定める療養
次の療養には保険外併用療養費が認められており、差額を負担しなければなりません。
1) 特別療養環境室(差額ベッド)への入院
2) 一定の前歯の治療に金合金などを使用
3) 緊急やむを得ない場合を除き、紹介が必要な200床以上の病院での文書紹介のない初診
4) 予約に基づく診療
5) 緊急患者を除く診療時間外の診療
6) 金属床による総義歯の提供
7) 薬事法規定による治験(医薬品対象)にかかる診療
8) 継続的な指導管理を要するう蝕(虫歯)患者(多発傾向の者を除く)への指導管理
9) 200床以上の病院での再診で一定条件を満たす場合
10) 薬事法規定による治験(医療用具対象)に係る診療
11) 薬事法承認後、保険収載前の医薬品投与
12) 180日超の入院基本料等の85%
13) 薬価基準に収載されている新薬の対応外使用
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