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■標準報酬と保険料

(1) 標準報酬と標準賞与額
健康保険では、保険料は被保険者の収入に応じてきめられます。しかし、被保険者の収入は、月によっても違いますから、収入額そのままを計算の基礎にするのでは大変やっかいな仕事になります。
そこで、計算しやすい単位で区分した仮の報酬を決め、被保険者の給料等をこれにあてはめ、保険料の計算をすることにしています。この仮の報酬を標準報酬といい、標準報酬月額は 58,000 円から 1,390,000 円までの 50等級に分けられています。
標準報酬は保険料を計算するときだけでなく、傷病手当金、出産手当金を計算するときにも使われます。
また、総報酬制の導入により賞与(ボーナス)からも毎月の保険料と同率の保険料を納めます。
標準賞与額は賞与の 1,000 円未満の端数を切り捨てた額です。標準賞与額は、年間累計額573万円が上限です。

標準報酬を決める時期
ア. 就職したとき (資格取得時決定)
就職すると同時に健康保険に加入することになりますので、標準報酬月額は、初任給等を基礎にしてきめます。
イ. 毎年7月1日現在で (定時決定)
標準報酬は年1回、全被保険者について決め直すことになっています。 毎年、4月、5月、6月の給料等をもとに7月1日現在で決め直され、その年の9月1日から翌年8月31日までの1年間使われます。
ウ. 昇級などで給料等が大幅に変わったとき (随時改定)
報酬の範囲
健康保険でいう ゙報酬゙ には、給料、俸給、手当など、被保険者が労務の対償として受けるものはすべて含まれます。 支払われ方が金銭であろうと現物であろうと、労務の対償であれば、含まれるわけです。平成15年 4月から総報酬制が導入され、賞与 (上限540万円) も保険料の計算基礎となっていますが、まったく臨時の収入、たとえば慶弔金のようなものは除かれます。

(2) 保険料
健康保険の保険料には、一般保険料・調整保険料・介護保険料があります。各保険料は標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じて決められます。 保険料率は適用事業所および任意継続加入者へお知らせしています。

1) 一般保険料
一般保険料は基本保険料・特定保険料に区分され、基本保険料は保険給付や事業運営にかかる費用、特定保険料は高齢者等の医療を支える納付金にあてられます。
健康保険組合の場合は、現在 30/1000 〜 120/1000 の範囲内で、組合の財政状況に応じて決めることができます。事業主と被保険者の負担割合も、組合の実績により、自主的に決めることができます。
2) 調整保険料
全国約 1,400余り の健康保険組合は、高額療養費の共同負担事業と財政窮迫組合の助成事業 (財政調整) を共同して行っており、この財源にあてるために調整保険料を拠出しています。
この保険料率は、基本調整保険料率、その組合の財政に応じた若干の増減率 (修正率) を乗じて決められます。

3) 介護保険料
介護保険に係る保険料で、医療保険に加入する 40歳以上 65歳未満の被保険者および被扶養者 (ともに介護保険の第2号被保険者) の介護保険料は健康保険組合などの各医療保険者が一般保険料と一括徴収し、社会保険診療報酬支払基金へ納付することになっています。これを介護給付費納付金といいます。健康保険組合の介護保険料率は、この介護給付費納付金を 40歳以上 65歳未満の被保険者本人の標準報酬総額 (標準賞与見込額の総額を含む) で割って算出されます。
被扶養者についての介護保険料は、被保険者の保険料に含まれますので負担はありません。
なお、40歳以上 65歳未満の被扶養者 (介護保険の第2号被保険者)を有する 40歳未満もしくは 65歳以上の被扶養者などの特定被保険者の介護保険料負担については、各健康保険組合により独自に決められています。
各健康保険組合の介護保険料率と負担割合 (原則事業主と折半負担) も、組合の実情により、自主的に決めることができます。
4) 産前産後休業中および育児休業中の保険料免除
産前産後休業中および育児休業期間中の保険料は、事業主の申し出により被保険者本人分および事業主負担分について免除されます。
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